セレストロンC5の周辺像改善の試み

初めてセレストロンC5での天体撮影を行った際、色々と課題が見つかりました。価格やスペックを考えると、概ね良好な星像だと考えましたが、フォーサーズフォーマットでも周辺像の肥大化や放射状の伸び(コマ収差)が目立ちました。少しでも何とかならないかと、検索して先人のお知恵を拝借させていただきました。
反射式望遠鏡ビクセンR200SS用のコマコレクターを使用したコマ収差の試みです。同時に近接撮影用のクローズアップレンズを使用してレデューサー効果も試してみました。諸条件から今回は十分な検証ができているとは言えませんが、まとめてみました。

使用したのは、現行品のコマコレクター3です。以前の商品とどの程度仕様が変わっているのかはわかりません。

左(望遠鏡側)から、直焦ワイドアダプター60DX・EOS用、コマコレクター3、クローズアップレンズと接続します。外殻は、BORG7460(M60-M60AD)、M57延長筒M、BORG7424(M57-シュミカセAD)です。直焦ワイドアダプター60DXは、内側に補正レンズ用のM56ネジが切ってあります。外側は、M60接続です。コマコレクターの後端にはM52ネジが切ってありますので、クローズアップレンズはM52のものです。コマコレクターは、ギリギリでM57延長筒に収まります。内壁に擦れて傷がつくことはないようです。

クローズアップレンズを使用しないときは、延長筒はSでもよいです。延長筒Mのままでも、もちろん合焦します。

クローズアップレンズは、Kenko製です。参考にさせていただいた過去ブログではNo.3を使用されていたようですが、焦点距離短縮効果の評価のためにNo.4も取り寄せました。安価ですが、作りはしっかりしており、意外に重量もあります。番号が上がるほど近接効果がアップし、レデューサー代わりとして使用する場合は、焦点距離の短縮効果が上がるようです。

概ね無限遠と考えられる程度遠方にある電柱を撮影して、短縮率を評価しました。ステライメージの角距離計測ツールを使用して、電柱の幅や半円状付属物の直径など目印になる部分の距離を測って、主焦点との比率を評価しました。なるべく誤差を収束させるために10箇所計測して平均しました。結果は、純正レデューサーが約0.66倍、クローズアップレンズNo.3が約0.80倍、No.4が約0.73倍でした。今回は、純正レデューサーの倍率に近いNo.4を使用してみることにしました。

同様にして、主焦点のコマコレクターありとなしを評価しました。コマコレクターの仕様に倍率変化なしとあるように、ぼぼ1.00倍でした。いずれもパッと見た感じでは、像質に目立った変化はないように感じました。ピント位置は、各々大きく変化します。

星像評価のための撮影に行きました。前回と同じ対象で、まゆ星雲です。ただ、前回よりも月が明るく月没前に撮影したため、背景などを中心にかなり画質が変わってしまいました。風もやや強く、ガイドも甘くなってしまいました。観賞用としては不適ですが、何とか星像の評価には使えそうです。露光時間は前回とほぼ同じで、機材構成も同じです。月齢からするとナローバンドの方がよいのですが、なるべく同じ条件で比較したかったので、LRGBとしました。

ガイド条件に違いがあるので正確には評価しがたいですが、印象ではコマコレクター+クローズアップレンズの方が、星像の肥大化は抑えられているようです。コマの改善に関しては、微妙なところです。

L画像の比較でも大体同じような印象です。星像はややシャープになるようですが、コマの改善は今一つのようです。

主焦点のコマコレクターありとなしのL画像です。風がやや強いのと焦点距離が長いので、15sのLivestackで40枚、露光時間10分です。F10とやや暗いので星の数が少なくてあまりはっきりしません。どちらもレデューサーやクローズアップレンズを入れた時よりは、コマ収差は目立たない印象です。これらの補正レンズのためにもともとあるコマ収差がより目立ってくるということはあるかもしれません。短縮率をあまり欲張らないほうが良いのでしょう。

以上、十分な検証ができたとは言い難いですが、おおよその結果です。過去の報告では良好な結果が得られているようなので、またトライしてみたいと思います。クローズアップレンズNo.3も試してみたいところです。

主焦点 1250mm コマコレクターあり
コマコレクター+クローズアップレンズNo.4

おまけですが、ピント合わせやアライメントの途中で撮影した月です。モノクロ1枚撮りです。主焦点コマコレクターありとコマコレクター+クローズアップレンズNo.4です。どちらもなかなかシャープだと感じます。やはり、C5は良好な中心像を生かして、月・惑星向きなのだと思います。それ以外の天体では、小さなフォーマットのカメラを使用して、系外銀河や惑星状星雲などの拡大を狙うのが良いのかもしれません。広い写野は、PROMINARやカメラレンズに任せるほうが良いのかもしれません。