おうし座 超新星残骸 Sh2-240 (Simeis147) に挑戦

2019年1月11日夜~12日未明にかけて、難物といわれる、おうし座の超新星残骸Sh2-240に挑戦してみました。
かなり淡い対象なので長時間露光が必要ですが、この対象は、この時期がいちばん良い時間帯に長く天頂付近で撮影可能であり、子午線越えの画像コンポジットができるようになったことなどから撮影してみることにしました。

2019/1/11-12撮影 おうし座 超新星残骸 Sh2-240 (Simeis147)
Astro6D(約-8.0~-10.0℃冷却) + NewFD 300mmF2.8L + Astro Duo ナローバンドフィルター
SXP赤道儀 + M-GENにてオートガイド(ディザリングあり) ISO1600 180sec × 75 3時間45分露光

なるべく長く露出時間を稼ぎたかったので、いつもの撮影地に19時過ぎには機材のセッティングをしました。しかし、初めての対象でとても淡いので、導入と構図調整にかなり手間取りました。ベテランの方々が撮影された画像を参考におうし座β星エルナトの位置を調整しながら構図を決めました。結局、機材設置から撮影開始までに1時間半近くかかってしまい、撮影開始は20時半ごろでした。途中、子午線反転時にも構図の調整などに30分くらいかかってしまったので、翌1時半ごろまでで合計3時間45分ほどの撮影時間でした。
画像処理に関しては、今回もDeepSkyStackerが、精度よく反転処理も含めてコンポジットしてくれました。フラット補正もある程度うまくいってくれたので、R・Gの微調整とわずかなカブリ調整で背景が落ち着いてくれました。やはり、天頂付近での撮影だと背景のムラは少なくて済むようです。そして、なんといってもAstro Duo ナローバンドフィルターが威力を発揮してくれたと感じます。セミナロー~ナローなので、透過光域が狭く、暗いですが、長時間露光をするとシャープでコントラストが高くなるようです。長時間露光が必要ですが、このような淡くて微細な構造を持った対象に向いているフィルターなのかもしれません。また、F2.8の明るい光学系も威力を発揮してくれました。

コンポジット・フラット補正して、レベル調整した直後の画像です。とても淡いですが、背景ムラが少なかったおかげでかなり強調処理できました。ディザリングと子午線反転の影響もありますが、トリミング量も少なくて済んだと感じています。

正直なところ、光害のひどいいつもの撮影場所でSh2-240の撮影をすることはちょっと無謀だと考えていました。しかしながら、強力なフィルターと明るい光学系、良好な天体の位置、多数枚のコンポジットなどによってある程度、写し出すことができました。