光害地での撮影

美しい星空を求めて、奥日光や南会津、しらびそ高原などへ遠征することもありますが、頻繁に行けるわけではないので、普段は地元の光害地で撮影することになります。
光害地での撮影では、色々と工夫する必要があります・・・
以前は、一眼デジカメと光害カットフィルターくらいしかなく、画像処理でのカブリ補正などとても苦労しました。
その後、モノクロCCDカメラとナローバンドフィルターでかなり改善しました。
加えて、最近では、冷却CMOSによる短時間露光Live stackも威力を発揮してくれるようになりました。

以下は、Live stackによるM57とナローバンドによるNGC7000+IC5067です。

2018/6/21撮影 KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL  Vixen SXP赤道儀
ZWO ASI178MC-Cool 外気温-25℃冷却
SharpCapにて15sec 31コマLive stack Gain255 総露光時間7分45秒(465sec)
M-GEN+コーワLM100JCにてオートガイド ステライメージにて画像処理
2018/7/1撮影 SIGMA 150mm F2.8 APO MACRO DG  Vixen SXP赤道儀
ZWO ASI1600MM Pro 外気温-25℃冷却 Hα,OⅢ,SⅡ各々180sec ×5コマ Gain255
ZWO社フィルター SAO合成
M-GEN+コーワLM100JCにてオートガイド ステライメージにて画像処理

以前に比べると光害地での撮影手段にも幅が出てきて、撮影後の画像処理も楽になったと感じています。特にLive stackは、短時間の露光でも大量にコンポジットすることによって淡い対象でもかなり映し出せるようです。しかも、短時間露光なので光害の影響も受けにくいようです。月齢や撮影対象に応じて、ナローバンドと使い分けています。

ZWO社のCMOSカメラは、軽量で取り回しがしやすく、感度もよいです。しかしながら、CCDに比べるとやはりノイズが多く、冷却時のアンプノイズもあります。特にカラーカメラのASI178MC-Coolは、4隅に若干アンプノイズと思われる赤カブリがあり、多少のトリミングが必要になります。また、SharpCapによるLive stackでは、あらかじめ撮影しておいたダーク画像でダーク減算をリアルタイムで行う必要があります。これをしないと背景がかなり荒れた画像になってしまいます。このリアルタイムダーク減算やフラット補正の機能は、有料ライセンスが必要ですが、購入する価値は十分あると感じています。

いずれにしても、10年ほど前に天体撮影を始めたころに比べると随分と環境が変わったと感じています。